トレンドマイクロ、パターンファイルに不具合。CPUが100%近くまで占有される

「ミイラ取りがミイラになった」とは良くいったものだ。今回のミスは人為的である。確認すべきところをしないでリリースされて全世界で被害が発生した。

土曜日とはいえ、日本時間の朝にマニラから配信された「魔」のパターンファイルは出社して電源をいれて立ち上げたPCを次々とハングさせてしまった。画面に気づかずにコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた人は、仕事をはじめようとして画面を見て驚いたに違いない。

私は幸いなことに、その時間は前日までの疲れのためにぐっすりとベッドで眠っていた。これが一日早くずれていたら社内のヘルプデスクは対応に追われて必死であっただろう。土曜日の休日出勤で出社して被害にあった人間の数が気になるところだが。

いや、まてよ。ServerProtectにこのパターンファイルが導入されていたら大変じゃないか!社内のファイルサーバが全く機能していない恐れがある。大変なことじゃないか。(もっと早く気づけよ、オレ)

CNETの記事によれば前バージョンの「2.592.00」を名称変更した「2.596.00」を23日の午前10時51分に、新たなウイルスなどに対応した新バージョンの「2.598.00」を24日午前8時35分にリリースしている。しかし、「2.594.00」がインストールされてからでは後の祭りだ。同社から駆除ツールもリリースされているが、まずは手動で復旧する手順を以下に記そう。


1.PCを再起動。(再起動命令がきかないようであればCtl+Alt+Escキーを同時に押す)
2.再起動時にF8キーを押してセーフモードで起動する。
3.「マイコンピュータ」のアイコンを右クリックする。「管理」を選び「サービス」を選択。
4.「Trend Micro Central Control Component」(ウイルスバスター2005の場合)、「Trendmicro ServerProtect Service」(ServerProtect)等のサービスを停止する。
5.「C:\Program Files\Trend Micro\Virus Buster 2005\LPT$VPN.594」を任意のファイル名にリネームし「LPT$VPN.594」を無効にする。
6.サービスの再起動。

今回は「ダブルチェック体制の不備」が問題を引き起こしたとされている。つまり、パターンファイルのリリースは今までは一度のチェックで済んでいたということか。随分と認識が甘いじゃないか。

私が注目する点はセキュリティ対策ソフトの種類でありながら、CPU100%による障害を簡単に引き起こせるほどの脆弱性がこのソフトにはあるということだ。あな恐ろしや。このようになる原因はよくわからないところはあるが。少なくともTrendMicroの商品は使い方によってはPCを麻痺させてしまう攻撃ができることがわかった。

もしもだ。ウイルスバスターの機能の一つであるパターンファイルの取得先URLを何者かに書き換えられ、今回と似たようなケースの偽の攻撃ファイルを「パターンファイル」として配信されてしまえば、どのようになるのか。

今回の事件は新たなPCへの攻撃手段が発生する可能性が出てくるということで注目すべき事態である。